シラク仏大統領が、テロ事件の頻発に苦慮するサウジアラビアを相手に、総額七十億ドルのハイテク治安設備の売却話をまとめあげた。この取引は元々、ニコラ・サルコジ経済財務産業相が内相時代に進めていたものだが、シラク大統領が最終的な許可を見送ってきたという経緯がある。 その背景には、二〇〇七年の大統領選挙で最大のライバルになるとみられるサルコジ氏に、多額の仲介料が入るのを阻止したいというシラク大統領の思惑があった。先の内閣改造でサルコジ氏から内相ポストを取り上げて腹心のドビルパン前外相に与えることに成功し、取引を成立させるお膳立てが整ったというわけだ。 一方、仏内相交代のニュースをつかんだサウジでは、主要王族がさっそく集まり、フランスとの取引で発生する「見返り」について協議した模様。健康状態の優れないファハド国王に代わり実権を握るアブドラ皇太子の名代、ここにきて皇太子との対立が噂されるナエフ内相の腹心、そして国王の溺愛する最も若い子息のアブドルアジズ国務相など、普段は角を突き合わせることの多い国王派と皇太子派も、「この時ばかりは和気あいあい」(関係者)だったという。

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