シリアの首都ダマスカスで四月二十七日に発生したテロ事件に政府の自作自演説が浮上している。 事件発生当初こそ、米国とテロ取締りで協力するバッシャール・アサド大統領に反発したアル・カエダ系グループによる犯行との見方が一般的だった。しかし時間が経つにつれ、街じゅうに私服の治安要員を配置して反政府組織の活動を抑え込んでいるダマスカスでテロ事件を引き起こすのは不可能との見方が浮上。「ブッシュ政権の強硬策を恐れた政府による猿芝居」との噂が市民の間に広まった。 ブッシュ大統領は昨年十二月、シリアへの経済制裁法案を承認している。フセイン政権の要人を匿い、アラブ・テロリストが自国経由でイラクに入るのを認め、対イスラエルでも強硬姿勢を崩さないシリアが、米政権の反感を買っているのは間違いない。 ただし、ブッシュ大統領は制裁法案に署名こそしたものの、シリア政府が反テロやイラク問題でどこまで協力するのかを見極めるため、これまでは発動を見合わせてきた。はたして「自作自演テロ」説は本当なのか。アサド大統領の動きが注目される。

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