イラクのイスラム教シーア派反米強硬派指導者、ムクタダ・サドルの評価をめぐり米国防総省と米中央情報局(CIA)の間で意見が対立し、これがブッシュ大統領の対イラク政策に影響を及ぼしているとの見方がある。 バグダッドの消息筋によれば、CIAはサドル支持者の多いバグダッド郊外や中部のシーア派聖地ナジャフで早くから情報収集を行なってきた。その結果、サドルの反米闘争が民兵組織「マハディ軍」だけでなく、他の多くのシーア派の支援も得ていると判断。サドルを抹殺しようとすれば、反米闘争の火に油を注ぐとみて強硬策に反対している。 一方、国防総省は「サドル支持者はごく少数の狂信的なグループだけ」(同総省高官)として、サドルを排除すれば反米活動は一気に鎮静化すると予想。特にラムズフェルド国防長官はサドル・グループを「暴漢かギャング」として、殺害を積極的に主張し、CIAの見方に猛反発しているという。 ワシントンの消息筋によると、ブッシュ大統領はこの二つの意見の間で揺れており、決定的な判断を下せないでいるようだ。

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