中国とインドが、精鋭陸軍部隊による共同演習を年内にも行なう方向で最終調整している。三月下旬、中国の軍最高首脳として十年ぶりに訪印した曹剛川国防相(党中央軍事委副主席)とフェルナンデス・インド国防相の会談で合意した。この夏前に、年末をメドとした日程を決める手筈だ。 一九六二年に国境紛争で戦火を交えた両国だが、今回の共同演習に参加が見込まれるのは、インドが内政省保安局傘下の「特殊国境部隊」、中国はチベット軍区の「山岳作戦部隊」と、双方の最精鋭部隊。しかも、中印国境の東側を軸に演習地点を検討しており、「おそらくチベット自治区が演習の舞台になるだろう」という。 昨年六月に訪中したバジパイ首相は、両国間で揉めているシッキム領有問題で中国が譲歩し、チベット独立問題ではインドが譲る方向を鮮明にしていた。すでにインド軍が中国国防大学へ幹部隊員を派遣、昨年十一月には国境紛争以来はじめて、インド第四軍軍長(中将)が率いる陸軍高級代表団がチベット入りしている。軍主導による中印の急速な関係改善は、チベット亡命政府にとっては厳しい環境となるかもしれない。

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