六月に始まる米海軍主催の環太平洋合同演習(リムパック)が、先祖返りともいえる対潜水艦戦に主軸を戻す。ところが日本政府は海上自衛隊の対潜戦能力の縮小を打ち出したばかり。間の悪い演習参加となりそうだ。 リムパックは日米両国のほか、韓国、英国などが参加して米ハワイ周辺で実施される。冷戦時代、ソ連の原子力潜水艦に対する、西側の対潜戦能力を向上させる目的で始まったが、ソ連崩壊後は、演習の主軸を「難民救援」や艦船の立ち入り検査など「軟弱な訓練」(海自幹部)に移していた。 だが、最近は中国の潜水艦の活動が活発になり、これを牽制する必要が出てきた。東シナ海での中国の調査活動を太平洋進出の前段階と見る米海軍には、リムパックで中国を牽制し、極東に封じ込めたいとの思惑がある。 海上自衛隊は護衛艦四隻、潜水艦一隻、P3C対潜哨戒機八機と隊員千百六十人を参加させるが、日本政府は昨年末に自衛隊の正面装備削減を決定したばかり。弾道ミサイル防衛システムの購入費を捻出するためだが、米国が次の脅威は「中国の潜水艦」と言っている時に、海自が対潜戦能力削減とは何ともちぐはぐだ。

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