ブッシュ政権はクリントン政権とは戦略をガラリと変え、「日本優遇」の政策をとっている。だが、歴史的に見ればアメリカの対日政策は中国という“変数”によって大きく左右されてきた。 アメリカン・スタンダードとは、アメリカの国益に沿うかたちでグローバリゼーションを誘導、制御するための手段である。今や中国はグローバリゼーションの大潮流であり、アメリカの対日政策はアメリカの対中姿勢次第で決まる、つまり対日政策は中国が基準となる。「中国の経済パワーが大きくなる今、日本に強くなってもらいたい。これがわれわれの日本に対する基本政策だ。日本の頭越しで中国を戦略的パートナーと呼んだクリントン政権の路線は間違っていた」――。二〇〇一年の五月、発足して間もないブッシュ政権のホワイトハウス高官から聞いたのは「ジャパン・ファースト(日本第一)」政策だった。この発言は一九七〇年代以来最も寛容とも見えるアメリカの対日政策の狼煙だった。ブッシュ政権による小泉純一郎政権への支持を意味し、ブッシュ・小泉の揺るぎない関係を作り出した。 だが、日米首脳の派手な「友好パフォーマンス」は何かぎこちない。歴史的にはむしろ唐突ですらある。

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