四月二十九日、ついにグーグルが新規株式公開(IPO)計画をSEC(米証券取引委員会)に登録した。結論から言う。私はこの株式公開計画のままグーグルがIPOすることに対し、ここに反対の意を表明したい。 本欄ではすでに五回連続でグーグルについて取り上げてきた。それは私が「グーグルの革新性を知ることは、ネット社会の今後を考えることと同義」と確信しているからである。そしてもちろん、グーグルのこれまでの達成には、深い敬意を抱いている。その上で敢えて言う。グーグル創業者たちよ。責任の重い「公開企業の経営」を甘く見てはいけない、才能に驕ってはいけない、調子に乗っちゃいけないのだ。 グーグルの株式公開計画について、日経新聞はこう報じた。「広く個人に株を保有してもらうために、公開に伴う公募増資に、この規模の案件では異例の競売方式を採用する。また、株式市場を通じた経営介入や敵対的買収を防ぐため、共同創業者二人が一般の普通株に比べ強い議決権のある別種の普通株を保有し続ける資本構造にするなど異例ずくめの公開となる」(米州国際版五月一日付) 競売方式は構わないけれど、創業者二人を特別扱いする特殊な資本構造だけは絶対に容認すべきではないと、私は考える。もっと言えば、その背後にあるグーグルの唯我独尊の経営思想に危険を感じ、それを深く懸念する。それが反対理由のすべてである。

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