米、日、独に次ぐ世界第四位の自動車生産大国になった中国で、外資との合弁ではない独立系国産自動車メーカーが意外な健闘をみせている。今年一―三月の乗用車販売シェアでは浙江吉利汽車が四・九%で第六位、安徽奇瑞汽車が四・三%で第七位に入った。上位には相変わらず、上海VW、一汽VW、上海GM、長安鈴木など外資との合弁メーカーが並んでいるが、技術力で劣る吉利、奇瑞がそれに次ぐシェアを得ている点に注目すべきだろう。広州ホンダは八位で両社の後塵を拝しているのだ。特に吉利は二、三月に月間販売台数が連続して一万台を突破、中国メーカーの独自開発車としては空前の売れ行きを示している。 なぜ、吉利、奇瑞が生き残り、成功しているのか。カギは外資が中国に築いた自動車部品産業のインフラにあるだろう。一九八〇年代末以降、中国に進出した外資の自動車メーカーは部品メーカーにも進出を促し、世界トップクラスの自動車部品メーカーが中国に拠点を持った。加えて、地場の部品メーカーが外資の注文を得るため技術レベルを急激に高めた。外資がつくった自動車部品の生産集積を巧みに使い、外資の設計を「ものまね」しながら、吉利などはそこそこの品質で安価な車づくりを実現したといえる。これはかつて中国の家電産業などで起きた現象に似ている。松下、日立などが開拓、育成した地場部品メーカーや人材を四川長虹、TCL、海爾など中国の家電メーカーが利用、中国の家電製品の品質を高め、コストを引き下げた。

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