サウジアラビアの政治序列でファハド国王、アブドラ皇太子に次ぐ第三位につけているスルタン第二副首相兼国防航空相(王子)が、五月三日に腸内ポリープの摘出手術を行なった。 国防を所轄する大臣として米英仏などとの兵器取引をまとめるたびに巨額の手数料収入を懐に納めていたと噂されており、「ミスター五%」との渾名でつとに有名。実兄であるファハド国王が病床に伏してからは、同国王を筆頭とするスデイリ七人兄弟の次男として王家内外に睨みをきかせ、アブドラ皇太子が進める諸改革の動きにも歯止めをかけていた。 ただ、一方で九・一一テロ事件以降、自らが支援していた国内の各種財団がアル・カエダなどのイスラム過激派とつながっていたとの疑いが高まったため、その権勢に陰りが生じたとする分析にも注目しておく必要がある。最近ではスデイリ七人兄弟の取りまとめ役は、実弟のナエフ内相やサルマン・リヤド州知事に奪われた模様だ。関係者の間では、今回の手術をきっかけに、サウジの政治序列が変動する可能性が取り沙汰されている。

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