銅やコークスやガスのおかげで、総合商社が「史上最高益」を続々と塗り替えた。有卦に入った業界だが、その先に待つのは「寡占化」だ。「冬の時代」を言われた商社の復権が著しい。今年三月期の決算では、三菱商事が商社史上初めて純利益が一千億円を突破したほか、三井物産、住友商事、丸紅の三社も史上最高益を塗り替えた。伊藤忠商事は不動産の大幅な減損で最終損益こそ赤字だったものの、営業利益など「本業の稼ぐ力」を示す指標は高水準を達成している。同社の丹羽宇一郎社長は「今年度は利益、配当、社員給与の三つで過去最高を更新するトリプルベストをめざす」と宣言する。 こうした商社復活の原動力になったのが、世界的な資源高だ。資源輸入国の日本にとって、資源高はマイナスの側面が大きいが、商社は違う。海外のエネルギーや鉱物資源に積極的に投資し、世界各地で資源権益を買い集めてきた。その成果が今になって収穫期を迎えたのだ。 象徴的な事例がある。住友商事が二六%の権益(出資比率)を取得するインドネシアのバツヒジャウ鉱山。銅を産出するこの鉱山プロジェクトは前期、二十億円の利益を住商にもたらした。中国特需による世界的な需給逼迫で、銅の国際価格は一本調子で上昇してきた。昨年一―九月まで銅地金の価格は一ポンドあたり七十六セントだったが、今年に入って一時は百セントを超えた。このバツヒジャウ鉱山はそれまで赤字でお荷物視もされたが、市況の高騰で一転してドル箱に変わったのだ。

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