共産党の選挙前の内部シミュレーションは厳しい予測で、改選十五議席(非改選五)に対し当選は六から八議席にとどまるという読みだった。しかし、結果は四と、それをさらに下回ることになり、党内は衝撃を受けた。 不破哲三議長(七四)とのミゾが広がったこともあって、選挙の迫った五月に半月も入院するなど、志位和夫委員長(四九)は「引きこもり」気味だった。選挙運動中は、それでも声を張り上げて演説していたが、この結果には落胆しただろう。投開票日の夜、志位氏の父親が入院し、志位氏はその見舞いのため翌日の記者会見などを欠席した。異例のことだ。志位氏の父親はもちろん党員で、地域の幹部という立場。息子を熱心な党員にしたということで、党内では評判が良かった。それだけに、今回の選挙大敗は、ショックだったのかもしれない。 党内で志位氏の責任論が高まるとしても、問題は後釜がいないこと。市田忠義書記局長(六一)では、この危機を乗り切れるとは誰も思っていない。むしろ、比例区二位で当選した小池晃政策委員長(四四)のほうが可能性があるだろう。不破議長の“現役復帰”は、さすがに体が無理。共産党の場合、選挙の敗北自体、明確な言葉で認めることはしないだろう。しかし、そこが問題で、はっきり「負けた」と認めて再スタートするしかないのではないか。今年一月以来、党勢を三〇%拡大するという方針を掲げてきたが、結果は三%しか伸びなかった。その拡大運動を引き続きやっていく体力もない。立ち往生しているのが今の共産党だ。

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