第二十回参議院議員選挙が公示される三日前、台風六号が日本列島を直撃した。梅雨時の台風上陸である。太平洋高気圧が例年のように日本の南海上に張り出していなかったという“異常気象”が時ならぬ台風を招いた原因だった。 六月二十四日にスタートした参院選も波乱の中の幕開けだった。小泉人気という“高気圧”は遠のき、かつてない規模の政権批判の嵐が列島各地で吹き荒れていた。報道各社の世論調査がその“風速”のすさまじさを物語っている。六月十九、二十日実施の朝日調査で、内閣支持率は四〇%と一カ月前の前回調査から一挙に十四ポイント急落。不支持率は四二%と十二ポイント急増した。二十五―二十七日実施の読売調査も、内閣支持率は二週間前の前回調査と比べ四・六ポイント減の四〇・七%、不支持率は六・三ポイント増の四三・五%を記録した。五月の首相再訪朝で五割台を回復した内閣支持率は一カ月足らずで政権発足以来最悪のレベルに落ち込んでいた。先の通常国会で成立した年金制度改革関連法への反発が最大の下げ要因だった。「(支持率は)上がる時もあれば下がる時もある」と、小泉純一郎首相はポーカーフェイスを装ったが、安倍晋三幹事長、青木幹雄参院幹事長ら自民党執行部は焦りを隠し切れなかった。「なぜ民主党がこんなにいいんだ」。そんなうめき声が漏れたのは六月二十二日午前、自民党本部で行なわれた選対会議の席だった。

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