シリアのバッシャール・アサド大統領が六月下旬に中国を公式訪問した際、滞在期間を一日短縮して突如帰国し、憶測を呼んでいる。中東関係筋は「北朝鮮問題をめぐる中国側との対立が原因」と指摘する。 大統領にとって今回は一九五六年に国交を結んで以来初の訪中で、米国による経済制裁の圧力が強まるなか重要な意味を持っていた。二十二日午後の胡錦濤国家主席との会談では政治、経済などでの連携拡大を確認するなど所期の目的を達したかに見えた。 ところが大統領は当初二十五日まで予定していた滞在を二十四日で切り上げた。中国において北朝鮮高官との会談を予定していたものの、中国側の反対で実現しなかったためだという。 北朝鮮とシリアはスカッドミサイル開発などの軍事協力を行なってきたが、今回の会談では大量破壊兵器の開発での協力推進を議題にしようとしていた可能性がある。中国は「北京のシリア大使館が北朝鮮との取引の中心的存在であるのを不愉快に思っていた」(同筋)うえ、同じ時期に北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議が行なわれていたため、「会談に不快感を示した」(同筋)とされる。

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