タイと中国との異例のバーター取引が注目を集めている。タイが熱帯果実のライチを輸出し、その引きかえに中国から戦車を受け取ったというのだ。 これまで米国を武器の主な取引先としてきたタイは、一九九七年のアジア通貨危機以降、武器の購入ルートの多様化を図ってきた。中国からは八〇年代にも戦車を輸入したことがあり、今回も中国製品の価格の低さを評価している模様。その供給契約の一形態として、ライチと戦車のバーター取引という前代未聞の契約がとり交わされたらしい。 タイのタクシン首相は六月下旬に米太平洋軍を率いるファーゴ司令官と会談した際、この取引について言及したようだが、会談の議題には挙がっていなかったこともあり、臨席した米政府高官に驚きを与えたという。 タイはイラクで治安維持にあたる国軍の派遣やテロ対策などで米国に協力的な姿勢をとってきた。しかし、タイ南部の分離独立を求めるイスラム過激派との抗争については、米軍の介入は不要と言明している。タクシン政権は、米国一辺倒の姿勢を避け、一定のバランスを取ろうとしているようだ。

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