東シナ海で中国が建設を進める春暁ガス田群に対抗して、日本が七月七日に開始した資源探査の行く末が早くも案じられている。 春暁ガス田群の建設地点は中国の排他的経済水域(EEZ)内だが、日中中間線から約四キロしか離れていないため、地下にある「日本側」の天然ガスまで採取される恐れがある。再三にわたるデータ提供要求に中国が応じないため、日本政府は調査船をチャーターして資源探査を開始した。ただ、仮に天然ガスが埋蔵される空洞が見つかっても試掘に踏み込むかどうか、日本は決めていない。 中国の海洋問題に詳しい杏林大学の平松茂雄教授は「中国は中間線よりはるかに日本寄りの沖縄トラフまでを自国のEEZと主張している。この海域で日本が試掘すれば中国が猛反発するのは必至」と解説する。試掘にはよほどの政治的決断が必要ということだ。 日本側海域の調査と試掘については、「帝国石油」「石油資源開発」「うるま資源開発」「芙蓉石油開発」の四社が政府に許可願を提出しているが、政府は中国の反発を恐れて三十年以上も放置してきた。今回ようやく資源探査を始めるものの、結局は「単なるポーズ」との見方が有力だ。

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