饗宴外交の舞台裏 (202)

「外国要人初」ウィリアム王子「被災地1泊」の意味

執筆者:西川恵 2015年3月13日
エリア: ヨーロッパ アジア

 英国のウィリアム王子(32)が2月26日に来日し、3月1日までの4日間滞在した。妻のキャサリン妃は第2子妊娠中で夫妻での来日とはならなかったが、外国の要人としては初めて東日本大震災の被災地に1泊し、2日間にわたって被災者たちと交流して好印象を残した。

 ウィリアム王子は訪日中、東京都内の英国関連イベントにも出席したが、主たる訪問目的は2つだった。1つは英王室と日本の皇室の長い関係を踏まえた交流。2つ目が震災地訪問である。特に後者は王子の強い希望で、「被災者と会わないのでは訪日する意味がない」と側近に伝えていたという。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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