短期決着なら変わらないアメリカ「一極支配」

迷走する国連安保理、広がりつつある「反戦」の動き――。混沌とするイラク情勢を読み解くための「三つのキーワード」を提示する。 国際原子力機関(IAEA)事務局長時代のハンス・ブリクス氏が采配したウィーンでの会議に何度か参加した。いまも変わらぬさわやかな弁舌、時間を超過した議論にもじっと耐える。ただし自分たちの組織批判に聞こえる発言には冷たく反応する。 真骨頂はバランス感覚である。国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)委員長としての三月七日の安全保障理事会への報告もそうだった。イラクは非協力的だが、協力の兆しもある、と八方に気を遣う。相変わらずの玉虫色報告こそ、あの時の有能な国際官僚の面目躍如だった。

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