AKP方式が唯一の道か？
AKPのたどってきた道が国際社会で認められる有効なものだったという筆者の主張は説得力があるし、エジプトもそうなるのが無難だというのもよくわかりますが、それはあくまでも欧米（＋イスラエル）が主導する「民主主義」という制度を信奉する立場からの都合の良い希望に過ぎない気もします。トルコは地政学的にも政治的にもEU加盟という利益誘導的な方向性を見出しており（それ自体は現在頓挫しつつあるらしいが）、イスラムを信奉する立場からも現実的に妥協しやすいかもしれません。が、エジプトはこれまでさんざんアメリカ（＋イスラエル）にムバラクたちを通じて妥協し続けてきており、「そのせいでこんなことになってしまった。もうこりごりだ」という思いもあるでしょう。現在は欧米と協調姿勢が見られる国軍を中心に欧米型民主化の方向へ進んでいると観測できますが、これで民衆が納得するか？欧米からは認められていないものの何とか民主的な政治を展開しているイラン的な方向へ進む可能性も捨てられないのではないかと思います（決して私自身は、イランの政体を高く評価するわけではありませんが、かといって「悪の権化」とは言えないと思っています）。イラン自体も現在政権打倒のデモが起こっており、安泰ではないですが、アラブ社会がこの一連の「民主化運動？」で、日本人からして馴染み深い（あるいは馴らされている）欧米型の「民主主義」に雪崩を打ってむかうのかどうか、エジプトの趨勢を見極めるのはとても大きい価値があるのは間違いないし、そこに目をつけた筆者の論には、大いに賛同します。