やっぱり残るは食欲
やっぱり残るは食欲 (8)

小さな雑菌

執筆者:阿川佐和子 2018年6月2日
カテゴリ: カルチャー
エリア: アジア
「昨日は何を食べましたか?」

 お腹の痛みに目が覚めた。かすかに吐き気も覚える。薄目を開けて時計を見ると、まだ3時前だ。寝返りを打ち、再び目を閉じる。この不快感を忘却のかなたへ押しやってくれる世界へ戻りたい。ところが夢の神様は私をなかなか受け入れてくれない。また寝返りを打つ。不快感は収まるどころか、だんだん広がっていく気配さえある。お手洗いへ行こうか。でもベッドから出るのが面倒くさい。我慢できないほどの痛みではない。しばらく様子をみよう。原因がわかったところで、寝るしか手立てはないのだから。きっと朝までには治るだろう。

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執筆者プロフィール
阿川佐和子 1953年東京生まれ。報道番組のキャスターを務めた後に渡米。帰国後、エッセイスト、小説家として活躍。『ああ言えばこう食う』(集英社、檀ふみとの共著)で講談社エッセイ賞、『ウメ子』(小学館)で坪田譲治文学賞、『婚約のあとで』(新潮社)で島清恋愛文学賞を受賞。他に『うからはらから』(新潮社)、『正義のセ』(KADOKAWA)、『聞く力』(文藝春秋)など。
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