「賃金上昇」「人手不足」で五輪後に分かれる企業の「勝敗」

執筆者:磯山友幸 2018年8月22日
エリア: アジア
7月24日、最低賃金引き上げの目安について議論する中央最低賃金審議会 (C)時事
 

 今年も「最低賃金」の大幅な引き上げが固まった。厚生労働省の中央最低賃金審議会が2018年度の最低賃金の「目安」を7月24日に決定。これを受けて各都道府県の審議会が、地域別の最低賃金を正式に決めた。全国平均で時給を26円引き上げ874円とし、東京都は27円引き上げて985円になる。10月をめどに改定後の最低賃金が適用される。

「1000円」が目標

 安倍晋三内閣は最低賃金の中期的な目標として「1000円」を掲げてきた。2016年6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」では、最低賃金の「年3%程度の引き上げ」を盛り込んだが、それ以降、全国平均の引き上げ率は3年連続で3%を超えた。このままのペースが続けば、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、東京と神奈川の最低賃金が1000円を超えるのは確実な情勢になった。

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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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