
日本が支援整備を行って成立した、各国法典の数々(JICA提供)
JICA(国際協力機構)が過去20年以上にわたって取り組み、地味ながら大きな成果をあげている事業の1つに、法整備支援がある。
その始まりは、1992年、名古屋大学法学部の森嶌昭夫教授(現・名誉教授)が、ベトナムの法律や社会制度の調査のためにハノイを訪問したとき、グエン・ディン・ロック司法大臣(当時)から、民法の立法作業に対して協力してくれるよう依頼されたことである。
ベトナムは1986年に導入されたドイモイ(刷新)政策のもと、市場経済を導入しようとしていたが、社会主義時代に作られた法制度のもとでは、活発化する経済取引に対応することが困難になっていた。ベトナムでは、世界銀行、国連開発計画、アジア開発銀行、それ以外に諸外国が協力していたが、あまりうまくいっていなかった。どうしても先進国の都合のよい制度の押し付けになりがちだった。

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