日本人のフロンティア
日本人のフロンティア(21・最終回)

自由で開かれたインド太平洋構想

多目的船4401にて合同訓練を行う海上保安庁とフィリピン沿岸警備隊(PCG)(写真提供・JICA)

 

「自由で開かれたインド太平洋戦略」という言葉は、安倍晋三首相が2016年8月、ケニアで開かれた第6回アフリカ開発会議(TICAD Ⅵ)で初めて使ったものである。今では、アメリカもこれを主張するようになっている。それゆえ、これを米中対立の一環と捉え、また、中国の「一帯一路」と対抗するものと捉えている人が多い。私はそうでないということを、述べたいと思う。

「戦略」というよりも「構想」

 第1に、「自由で開かれたインド太平洋」というのは、戦略ではない。戦略とは、より上位の目的を実現するための方法であり、政策の体系である。「自由で開かれたインド太平洋」というのは、むしろ、多くの政策の上位にくる目的ないしヴィジョンである。最近、政府は自由で開かれたインド太平洋「構想」と言い換えるようになったが、これは戦略に付随する軍事的意味合いを払拭するためだと言う人がいる。だが、元来、構想の方が正しいと私は考える。

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執筆者プロフィール
北岡伸一 東京大学名誉教授。1948年、奈良県生まれ。東京大学法学部、同大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大学教授、東京大学教授、国連代表部次席代表、国際大学学長等を経て、2015年より国際協力機構(JICA)理事長。著書に『清沢洌―日米関係への洞察』(サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』(読売論壇賞受賞)、『自民党―政権党の38年』(吉野作造賞受賞)、『独立自尊―福沢諭吉の挑戦』、『国連の政治力学―日本はどこにいるのか』、『外交的思考』など。
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