岩瀬昇のエネルギー通信 (139)

「神」と呼ばれた伝説の「石油トレーダー」が語る壮絶「一代記」

執筆者:岩瀬昇 2019年4月9日
エリア: 北米 中東
これだけのインタビューに応じたのは極めて珍しい(『FT』より)

 

 筆者がロンドンでおっかなびっくりオイル・トレードを始めた1980年代半ば、業界には「ミリオン・ダラー・クラブ」なるものがあると教えられた。トレードで大成功し、ボーナスを100万ドル以上貰うことが「入会資格」だ、と。

 サラリーマン・トレーダーの筆者は、最初から「応募資格」すらない世界だ。

 それから数年して、プロのオイル・トレーダーを雇用し、子会社を設立して彼らのトレードを管理したこともある。全社的なルールの中で、耐えられる最大損失額を勘案しながら、どこの会社とどれくらいの取引をしていいのかという信用限度と、価格リスクを採る「売買越限度」を設定し、その範囲内であれば自由にやってもらった。それでも「ミリオン・ダラー・クラブ」に参加できるほどの利益をあげる年が多かった。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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