「人手不足」と外国人 (47)

「偽装留学生」記事「撤回要求」への反論(下)

執筆者:出井康博 2020年3月4日
エリア: アジア
日本語能力試験ホームページ。「成績書類偽造にご注意!」のお知らせも(公式ウェブサイトより)
 

 前稿(上)で紹介した神吉宇一・武蔵野大学准教授の私への批判は、果たして正当なものなのか。私は、アカデミズムの専門家に判断を仰ぐことにした。

 まず、一橋大学特別研究員の井上徹氏の論文を審査した安田敏朗・一橋大学大学院言語社会研究科教授に神吉氏のブログの感想を尋ねると、こんな答えが返ってきた。

アカデミズムの反応

〈出井氏の記事の、どこをどう読んだらN1、N2を取得していない留学生を「偽装留学生」と言うことができるのか。出井氏の記述を引用して(つまり、「根拠を示」しつつ)示すべきである。出井氏はそんなことは言っていない。ついでにいえば、「そもそも、ある1つの試験の結果だけで教育成果や学習者、教育機関の良し悪しを議論するのは適切ではない」というのは一般論にすぎず、出井氏の記事の趣旨とは関係ない。ブログ読者をミスリードしているように思われる〉

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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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