安倍「融和路線」に「領土割譲拒否」で臨んだロシア外交の「機能不全」

執筆者:名越健郎 2020年8月12日
エリア: アジア ヨーロッパ
結局、対露安倍外交とは何だったのか(2019年9月、ウラジオストクにて)(C)AFP=時事
 

 安倍晋三首相が悲願とするロシアとの平和条約締結は、「領土割譲禁止」条項を含むロシアの憲法改正によって破綻した。

「近隣諸国との領土画定は例外」とする規定はあるが、ロシア外務省報道官は、

「日本との国境問題は例外にならない」

 と断言した。ロシア議会では関連刑法の制定が進んでおり、領土問題解決は大幅に遠のいた。

 2013年以降、11回ロシアを訪れ、通算27回もウラジーミル・プーチン大統領と会談した安倍首相は、戦後の歴代政権では最も親露的な政権だったが、その結末は「領土割譲禁止」という手厳しいしっぺ返しだった。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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