岩瀬昇のエネルギー通信 (331)

2021年原油価格:「海図のない航海」はどこへ向かうのか(前編)

海図なき航海の行きつく先は――(写真はイメージ)
 

 2020年3月の「石油価格戦争」および「新型コロナウイルス」パンデミックにより「海図のない航海」へ漕ぎ出すことを余儀なくされた原油市場は、2021年どこへ向かうのだろうか?

『新潮社フォーサイト』掲載連続7年目になる年頭原油価格展望だが、今回は通奏低音のように、市場に静かな、だが大きな影響を与えているいくつかの「地殻変動」についても考えてみたい。

 ここで言う「地殻変動」とは、「2050年温暖化ガス排出ネットゼロ」(2050年排出ネットゼロ)に代表される気候変動対応の「エネルギー移行」であり、今では「いつ?」が焦点の「石油需要ピーク」であり、そして人間でいえば「還暦」を迎えた「OPEC」(石油輸出国機構)の存在意義である。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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