やっぱり残るは食欲
やっぱり残るは食欲 (39)

ご飯の肴

執筆者:阿川佐和子 2021年1月10日
カテゴリ: カルチャー
エリア: アジア
「紅生姜の味をいつ知ったのか、記憶にない。いつのまにかそばにいた」(写真はイメージです)

 

(11月27日発売の新潮社『波』12月号より転載しています)

 小さい頃、知り合いのさるご婦人に予言された。

 「この子は将来、酒飲みになるわよ!」

 ご飯茶碗に向かう私をじっと見つめ、ニヤリと笑ってそのご婦人は呟いた。まだ6、7歳のいたいけな少女に向かってこのオバサンはいったい何を言っているのだろう。幼いながら違和感を覚えた記憶がある。

 そう言われたのはなにゆえか。理由はまもなく判明した。私が白いご飯の上にこのわたを載せて食べていたからだ。

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執筆者プロフィール
阿川佐和子 1953年東京生まれ。報道番組のキャスターを務めた後に渡米。帰国後、エッセイスト、小説家として活躍。『ああ言えばこう食う』(集英社、檀ふみとの共著)で講談社エッセイ賞、『ウメ子』(小学館)で坪田譲治文学賞、『婚約のあとで』(新潮社)で島清恋愛文学賞を受賞。他に『うからはらから』(新潮社)、『正義のセ』(KADOKAWA)、『聞く力』(文藝春秋)など。
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