
「紅生姜の味をいつ知ったのか、記憶にない。いつのまにかそばにいた」(写真はイメージです)
(11月27日発売の新潮社『波』12月号より転載しています)
小さい頃、知り合いのさるご婦人に予言された。
「この子は将来、酒飲みになるわよ!」
ご飯茶碗に向かう私をじっと見つめ、ニヤリと笑ってそのご婦人は呟いた。まだ6、7歳のいたいけな少女に向かってこのオバサンはいったい何を言っているのだろう。幼いながら違和感を覚えた記憶がある。
そう言われたのはなにゆえか。理由はまもなく判明した。私が白いご飯の上にこのわたを載せて食べていたからだ。

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