悪党たちの中華帝国
悪党たちの中華帝国 (2)

唐の太宗――明君はつくられる(上)

中華帝国のあけぼの――大唐帝国

執筆者:岡本隆司 2021年5月15日
タグ: 中国
エリア: アジア
同時代を生きた隋の煬帝(左)と唐の太宗(右)。かたや「亡国」、こなた「建国」の君である

 

国勢は日々さかんに、治世も日々久しくなる  と、さすがの太宗も次第に飽いてこないわけにはいかなかった。「貞観のはじめは、言いたいことをいうように、と促し、三年の後は、諫めを承けると悦んで従っておられた。ところが、ここ一、二年はよほど無理して諫言を納れられても、なお不平をお持ちだ」とは諫臣・魏徴の言。ここからわかるのは、太宗も貞観の中ほど、功成って志をとげると、もはや孟子のいうように「好んで臣下から教わ」れなくなっていたことである。恐懼は懲しめ有るところから生じ、怠惰は戒め無きところから生じる。君主というのは、おおむねそうしたものだ。(『廿二史箚記』卷十九)

カテゴリ: カルチャー 社会
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執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
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