悪党たちの中華帝国
悪党たちの中華帝国 (3)

唐の太宗――明君はつくられる(下)

中華帝国のあけぼの――大唐帝国

執筆者:岡本隆司 2021年5月29日
タグ: 中国
エリア: アジア
唐の太宗(右)は隋の煬帝(左)の事蹟をなぞりつつ、名君の称を得た

 

 隋と煬帝の蹉跌のはじまりは、高句麗遠征だった。遠征を三たびくりかえしたとは、いずれも成功しなかったという意味であり、第二次の遠征中、重臣の楊玄感が叛旗を翻したのを皮切りに、各地で反乱が発生した。また煬帝が雁門で突厥の騎兵に包囲された事件も、第三次の遠征軍派遣後に起こっている。

大乱

 こうした内憂外患は、やがて中原の大乱に発展し、隋そのものの滅亡にいたった。もちろん煬帝の政治手腕に疑問符のつくことはまちがいない。たとえば李世民も応じた、突厥に対抗する援軍召募で、あらかじめ約した賞賜を反故にして軍隊の信頼を失ったのは、大きな痛手である。財政窮乏の折柄、費えを惜しんだらしい。いかにも自身の感情に正直な決断ではある。

カテゴリ: カルチャー 社会
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執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
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