【北朝鮮社会の「思考」を読み解く】
北朝鮮社会を規制する「党の唯一的領導体系確立の10大原則」とは(2)「神格化」

執筆者:呉小元 2021年5月24日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
金日成と金正日の巨大な銅像に「拝礼」する北朝鮮の人々 (C)AFP=時事
建国当初からあった、北朝鮮内部の権力闘争。その終結後に登場したのは「金王朝」だった――。それをいかにして国民に刷り込んでいったのか。「10大原則」から読み解く。

「党の唯一的領導体系確立の10大原則」(以下「10大原則」)第2条は、北朝鮮が民主国家はもちろん社会主義国家でもない、カルト宗教に基づく国家だということを如実に語っている。

「神」よりも尊く崇高な存在

 2条の条文は次の通りである。

2.偉大なる金日成同志と金正日同志を、わが党と人民の永遠の首領として、主体の太陽として高く仰ぎ奉らなければならない。

偉大なる金日成同志と金正日同志を、我が党と人民の永遠の首領として、主体の太陽として高く仰ぎ奉ることは、首領様の子孫、将軍様の戦士、弟子たちの最も崇高な義務であり、偉大な首領様と将軍様を永遠に高く仰ぎ奉ることによってこそ、金日成民族、金正日朝鮮の無窮の繁栄がある。

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カテゴリ: 社会
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執筆者プロフィール
呉小元(オソウォン) 64歳の男性で、元朝鮮労働党幹部。日本で生まれ、10代で北朝鮮に帰国した。平壌の大学卒業後、労働党傘下の貿易会社で働いた後、韓国に対する工作活動をしていた1990年代、韓国に亡命。現在は会社役員を経て定年退職。仮名。著書に『ハダカの北朝鮮』(新潮新書)。月刊誌『ファクタ』等に寄稿多数。
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