
帝位についた稀代の女傑・則天武后(左)と安禄山(右)
遠く異朝を訪えば、秦の趙高・漢の王莽・梁の朱异・唐の禄山、これらは皆、旧主先王の政にも随わず、楽を極め、諫をも思い入れず、天下の乱れん事を悟らず、民間の愁うる所を知らざりしかば、久しからずして亡じにし者どもなり。
ご存じ『平家物語』の冒頭である。筆者の世代では、有無を言わさず諳誦させられたもので、そのためか安禄山といえば、まずこのフレーズが思い浮かんだ。
古典に慣れない向きには、なじみのない名前ばかりかもしれない。念のために解説を加えておくと、「異朝」の中国史上、天下大乱をもたらした叛臣のお歴々といったところ、上は紀元前の3世紀から、下は当時に近い8世紀まで、千年の長きにわたる。

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