悪党たちの中華帝国
悪党たちの中華帝国 (4)

安禄山――「逆臣」か「聖人」か(上)

中華帝国のあけぼの――大唐帝国

執筆者:岡本隆司 2021年6月12日
タグ: 中国
エリア: アジア
帝位についた稀代の女傑・則天武后(左)と安禄山(右)

 

遠く異朝を訪えば、秦の趙高・漢の王莽・梁の朱异・唐の禄山、これらは皆、旧主先王の政にも随わず、楽を極め、諫をも思い入れず、天下の乱れん事を悟らず、民間の愁うる所を知らざりしかば、久しからずして亡じにし者どもなり。

 ご存じ『平家物語』の冒頭である。筆者の世代では、有無を言わさず諳誦させられたもので、そのためか安禄山といえば、まずこのフレーズが思い浮かんだ。

 古典に慣れない向きには、なじみのない名前ばかりかもしれない。念のために解説を加えておくと、「異朝」の中国史上、天下大乱をもたらした叛臣のお歴々といったところ、上は紀元前の3世紀から、下は当時に近い8世紀まで、千年の長きにわたる。

カテゴリ: カルチャー 社会 政治
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執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
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