悪党たちの中華帝国
悪党たちの中華帝国 (5)

安禄山――「逆臣」か「聖人」か(下)

中華帝国のあけぼの――大唐帝国

執筆者:岡本隆司 2021年6月26日
タグ: 中国
エリア: アジア
玄宗(左)の寵をえた安禄山(右)だったが、反旗を翻した

 

 安禄山は8世紀初頭に生まれた。史料の記録がまちまちで、精確な生年はわからない。唐の太宗と同じである。漢字の姓名ながら、漢人ではない。これも太宗と同じながら、種族は異なる。かれはソグド系突厥人であった。生まれたのはモンゴル高原ともいわれるが、定説はない。

安禄山の登場とその背景

 ソグド人とは、中央アジアのアム河とシル河にはさまれた流域に点在するオアシス都市出身のイラン系種族である。この地域は乾燥草原地域ながら、紀元前6世紀ころから灌漑農業が発展して、サマルカンドやブハラなどをはじめとするオアシス都市が栄え、ソグド人の地という意味で「ソグディアナ」と呼ばれる。いわゆるシルクロードのど真ん中に位置し、ユーラシアの交通の十字路であった。

カテゴリ: 政治 カルチャー 社会
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執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
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