やっぱり残るは食欲
やっぱり残るは食欲 (45)

頗るつきの美味まで

執筆者:阿川佐和子 2021年8月1日
タグ: 日本
エリア: アジア
 
「夏目家の糠みそ」で漬けた糠漬け、お味が気になるところ(写真はイメージです)。

 糠味噌を漬け始めた。

 ことの発端は、半藤一利さんが亡くなられたからである。

 半藤さんとは僭越ながら何度か雑誌上で対談し、その後半藤さんのお知恵と経験を頼りに『昭和の男』という対談本を出版したこともある。舌鋒鋭く、合間に江戸っ子気質のべらんめえ口調も加わって、いかに日本の敗戦処理が稚拙であったかとか、明治の男がみんな偉いわけではなかったとか、しかし昔の軍人の中には今村均氏のごとく、赴任先のインドネシアの人々を大事にし、戦後は部下の苦悩を死ぬまで背負った崇高な方もおられたというような、貴重な話をたくさん拝聴した。

カテゴリ: カルチャー
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
阿川佐和子 1953年東京生まれ。報道番組のキャスターを務めた後に渡米。帰国後、エッセイスト、小説家として活躍。『ああ言えばこう食う』(集英社、檀ふみとの共著)で講談社エッセイ賞、『ウメ子』(小学館)で坪田譲治文学賞、『婚約のあとで』(新潮社)で島清恋愛文学賞を受賞。他に『うからはらから』(新潮社)、『正義のセ』(KADOKAWA)、『聞く力』(文藝春秋)など。
フォーサイトのお申し込み
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top