自民党崩壊――解散・総選挙で政治大乱の幕は開くか

執筆者:星浩 2021年7月27日
エリア: その他
「三度の飯より選挙が好き」な菅首相だが、政治不信は選挙対策で鎮まるレベルではない ⓒ時事
菅内閣の支持率低下が止まらない。オリンピック成功とコロナ禍収束に期待をかけ、あくまで「総裁任期満了前の解散・総選挙に勝つ」シナリオで続投を狙う菅首相だが、各種調査の結果によればその苦境は明らかだ。小泉純一郎内閣が誕生して20年、格差拡大を生んだ自民党政治の行き詰まりは、ついに臨界点をむかえようとしている。

 7月23日夜、東京・千駄ヶ谷の国立競技場。五輪開会式のスタンドに観客はいない。菅義偉首相は天皇陛下の隣で、華やかなセレモニーやマスク姿の選手たちの入場行進を見守った。新型コロナウイルスの感染拡大という前代未聞の状況で強行開催された五輪。菅氏の表情からは、どうにか開会式までこぎつけたという安堵と先行きに対する不安が見て取れた。

 菅氏はせっかちだ。目の前の仕事をしながら先々の日程を気にして、秘書官たちを困らせることが多い。開会式に臨んだ菅氏の頭の中にあったのは、秋までには必ずある衆議院の解散・総選挙と自民党総裁選をどう乗り切るかという難題である。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
星浩(ほしひろし) 1955年福島県生まれ。政治ジャーナリスト。79年東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、自民党、外務省などを担当。ワシントン特派員、政治部デスクなどを経て編集委員、オピニオン編集長、特別編集委員。2016年、退社しTBS系「NEWS23」キャスター、コメンテーター。04-06年、東京大学大学院特任教授。主な著書に『自民党と戦後』『官房長官 側近の政治学』『永田町政治の興亡 権力闘争の舞台裏』など。
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