悪党たちの中華帝国
悪党たちの中華帝国 (8)

後周の世宗(柴栄)――最後の仏敵(上)

カオスの帝国――五代

執筆者:岡本隆司 2021年8月14日
タグ: 中国
エリア: アジア
後周の太祖・郭威(左)の養子であり、右腕でもあった柴栄(右)

鎮州大悲寺の菩薩像は霊験あらたかなので、仏像破壊の勅命が下っても、誰も近づこうとしない。帝はこれを聞きつけ、自らその寺に出向き、鉄斧をふるって仏像の胸を砕いた。見ていた人は怖気をふるって、バチがあたるぞ、とささやきあった。案の定、帝は契丹北伐の途上、胸に腫瘍ができ、帰京するや亡くなったのである。(『仏祖統紀』卷四十二)

「鎮州」といえば、前回登場した馮道(ふうどう)ゆかりの地でもある。占拠していた開封から北帰する契丹に連行されそうになったさい、帰朝の糸口をつかんだ恒州の異称で、当時は河北の重要都市だった。

カテゴリ: カルチャー
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
フォーサイトのお申し込み
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top