悪党たちの中華帝国
悪党たちの中華帝国 (9)

後周の世宗(柴栄)――最後の仏敵(下)

カオスの帝国――五代

執筆者:岡本隆司 2021年8月28日
タグ: 中国
エリア: アジア
後周の世宗・柴栄(左)は側近・王朴(右)の献策を容れて天下統一に乗り出すが

 世宗はただちに親征を決意した。北漢の側も、君主の劉崇みずから出陣していたからである。しかし群臣は、対処迎撃は当然ながら、親征には反対だった。先帝の柩を蓋ったばかりで、北漢・契丹の連合軍とまともにわたりあっても、とても勝ち目はない、とみたからである。

高平の戦い

 しょせん戦場経験のない青年天子、鋭鋒は避けて自重すべし。さきに内藤湖南・宮崎市定という二大碩学の解釈で紹介した馮道老人の諫止は、嘲笑であれ親心であれ、意見そのものが特殊だったわけではない。誰もが世宗を「子供扱い」して、思い感じていたことだった。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
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