アフガン米軍撤退:米国の「対ISKP軍事行動」に見る「対テロ戦争」の新しい姿

執筆者:青木健太 2021年9月3日
エリア: 中東 北米
米軍のドローン攻撃で破壊された車(C) AFP=時事
タリバンによるアフガン統治は不透明だ。脅威が増すISKPとは如何なる組織で、なぜタリバンと対立しているのか。「対ISKP」での米国とタリバンの協力関係にどのような危険があるのか。中東調査会の青木健太研究員が解説する。

 

 2021年8月30日夜、最後の米軍輸送機がカブール国際空港を発ち、米国にとって「史上最長の戦争」が一応の終結を迎えた。翌31日、米国のジョー・バイデン大統領は米国民向けに演説し、米軍撤退は永遠の戦争を終わらせるための「最善の決断」だったと主張した。

 しかし、サイゴン陥落(1975年)を彷彿とさせる米国大使館からのヘリコプターを使った退避劇は、米国の「敗北」を印象付けるものであった。少なくとも外国軍放逐を目標に掲げたタリバンにとり、今回の事態は「カブール解放」と呼べる出来事であった。30日夜、カブールでは夜通し祝砲が鳴り響いた。

この記事だけをYahoo!ニュースで読む>>
カテゴリ: 政治 軍事・防衛
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
青木健太(あおきけんた) 中東調査会主任研究員。1979年東京生まれ。上智大学卒業、英ブラッドフォード大学平和学部修士課程修了。アフガニスタン政府地方復興開発省アドバイザー、在アフガニスタン日本国大使館二等書記官、外務省国際情報統括官組織専門分析員、お茶の水女子大学講師などを経て、2019年より現職。専門は、現代アフガニスタン、およびイランの政治・安全保障。著作に『タリバン台頭──混迷のアフガニスタン現代史』(岩波書店、2022年)、「イラン・ロシア関係の展開--イランの「ルック・イースト」政策に着目して」(『中東研究』546号、2023年1月)他。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top