「タリバンとの戦い」第2幕 金融戦争で勝利を狙う米国とアフガン市民の犠牲

執筆者:杉田弘毅 2021年9月24日
エリア: アジア 北米
サリバン国家安全保障問題担当米大統領補佐官は、「20年も金融制裁をやっている」と胸を張り、金融戦争勝利の自信を見せたが (C)EPA=時事
米国・国連安保理の金融制裁が続けば人道支援も滞り、GDPの8割が国際支援というアフガニスタン経済は早晩に崩壊する。今後1年で貧困率が97%に跳ね上がるという状況下、「アルカイダ」構成員がアフガンに戻り始めているとの証言も。テロ組織の温床への逆戻りをどう防ぐか。

 タリバンのアフガニスタン制圧で「敗北」した米国の対テロ戦争だが、唯一の残った米国のカードが、タリバンに対する金融制裁だ。

 2001年9月の米同時多発テロ(9・11)でタリバンは米国から金融制裁を科された。以来、貿易・金融取引ができず、アフガンの在米資産は凍結され、人道援助も滞っている。このままでは早晩タリバンもアフガンも干上がる。

 米国はタリバンに資産凍結解除の条件として、人権擁護を突き付けている。戦場での敗北を第2幕の金融戦争で挽回できるのだろうか。それともアフガンをさらなる暗闇に陥れるのか。

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執筆者プロフィール
杉田弘毅 共同通信社特別編集委員。1957年生まれ。一橋大学法学部を卒業後、共同通信社に入社。テヘラン支局長、ワシントン特派員、ワシントン支局長、編集委員室長、論説委員長などを経て現職。安倍ジャーナリスト・フェローシップ選考委員、東京-北京フォーラム実行委員、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科講師なども務める。多彩な言論活動で国際報道の質を高めてきたとして、2021年度日本記者クラブ賞を受賞。2021年、国際新聞編集者協会理事に就任。著書に『検証 非核の選択』(岩波書店)、『アメリカはなぜ変われるのか』(ちくま新書)、『入門 トランプ政権』(共同通信社)、『「ポスト・グローバル時代」の地政学』(新潮選書)、『アメリカの制裁外交』(岩波新書)など。
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