アメリカに「日印」を抜いた「AUKUS」が必要な理由

横須賀に入港中のアメリカ海軍原子力潜水艦 ©U.S.NAVY
米英豪による安全保障上の新たな枠組み「AUKUS」は、なぜ必要とされたのか。日米豪印からなる「QUAD」との決定的な違いと、オーストラリアが原子力潜水艦を取得する際のハードルについて元海将が解説する。

 

日本が主導した「QUAD」

 米英豪の3か国による事実上の軍事同盟「AUKUS」が発足した。名指しこそしていないものの、台頭する中国を念頭に、太平洋における西側諸国の軍事的プレゼンスを強化する目的に他ならない。

 しかし、中国に対応するための似たような目的の国際的な枠組みとしては、すでに日米豪印4か国の「QUAD」(日米豪印戦略対話)が存在する。9月24日には菅義偉首相が米ワシントンにて、4か国首脳による初の対面会談に参加したばかりだ。「QUAD」と「AUKUS」を比べると、米国とオーストラリアは共通メンバーで、日本とインドが抜けて英国が加わった形になっている。なぜ米国は、新たな枠組みを必要としたのだろうか。

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執筆者プロフィール
伊藤俊幸(いとうとしゆき) 元海将、金沢工業大学虎ノ門大学院教授、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、日本安全保障・危機管理学会理事。1958年生まれ。防衛大学校機械工学科卒業、筑波大学大学院地域研究科修了。潜水艦はやしお艦長、在米国防衛駐在官、第二潜水隊司令、海幕広報室長、海幕情報課長、情報本部情報官、海幕指揮通信情報部長、第二術科学校長、統合幕僚学校長を経て、海上自衛隊呉地方総監を最後に2015年8月退官。
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