新・日本人のフロンティア (12)

東京オリンピックから振り返る世界と日本(上)

執筆者:北岡伸一 2021年10月22日
タグ: 日本
エリア: アジア アフリカ
7月23日、東京五輪開会式で入場した各国選手団 (C)時事
さまざまな話題を振りまいて終了した東京オリンピック・パラリンピック。ここに集った選手や訪問したVIPを通して、国際政治の現実や希望、そして日本人の貢献が見えてくる。

 私はスポーツが好きだ。自分でできるスポーツは限られているし、それもさほどうまくはない。しかし見るのは何でも好きで、今回のオリンピックにも大いに興奮し、楽しんだ。

 それゆえ、私は競技そのものに興味があって、開会式や閉会式にはあまり興味がない。しかし今回は国際協力機構(JICA)の理事長という職責上、興味を持って見ていた。

開会式から垣間見えた国際政治

 一番関心を持っていたのは、南スーダンである。

 前にも書いたことだが、南スーダンは長い独立運動の末、2011年にスーダンから独立したが、国内で部族対立が絶えなかった。そこで、国民の一体感を強めるために、全国スポーツ大会をやったらどうだろうと考えて、JICAが協力して、2016年1月、日本の国民体育大会のようなものを、「National Unity Day(NUD)」という名前で実施した

カテゴリ: 社会 スポーツ 政治
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執筆者プロフィール
北岡伸一(きたおかしんいち) 東京大学名誉教授。1948年、奈良県生まれ。東京大学法学部、同大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大学教授、東京大学教授、国連代表部次席代表、国際大学学長等を経て、2015年より国際協力機構(JICA)理事長、2022年4月よりJICA特別顧問。2011年紫綬褒章。著書に『清沢洌―日米関係への洞察』(サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』(読売論壇賞受賞)、『自民党―政権党の38年』(吉野作造賞受賞)、『独立自尊―福沢諭吉の挑戦』、『国連の政治力学―日本はどこにいるのか』、『外交的思考』、『世界地図を読み直す』など。
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