悪党たちの中華帝国
悪党たちの中華帝国 (13)

朱子――封建主義を招いた「道学者先生」(下)

最強の最小帝国――宋

執筆者:岡本隆司 2021年10月23日
タグ: 中国
エリア: アジア
朱子(左)がまとめた四書の解釈書『四書集注』(右=国会図書館HPより)

 ようやく主役の登場である。朱熹、字(あざな)は元晦ないし仲晦、別号はたくさんあって、考亭・紫陽・晦庵・晦翁・遯翁などとよばれた。前回冒頭の引用文では「晦庵」、よく用いられたものの一つである。本籍はいま江西省に属す徽州の婺源県、徽州は別名を「新安郡」といったので、朱熹も新安の人と自称した。

朱熹という人

 もっとも、出生地は異なる。朱熹は1130年9月15日、まだ南宋政権の帰趨も定まっていないさなか、現在の福建省の尤渓県で生まれた。父の朱松が当時、中級官僚として福建の地方官に任じていたからである。育ったのも福建、初任も福建の地方官、生涯の活動も福建が中心で、とにかく縁が深い。そのため朱子の学問を「閩学」ともいう。「閩」とは福建の別名である。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
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