悪党たちの中華帝国
悪党たちの中華帝国 (14)

永楽帝――甥殺しの簒奪者(上)

再生した帝国・変貌する帝国――明

執筆者:岡本隆司 2021年11月13日
タグ: 中国
エリア: アジア
クビライ(左)が樹ち立てた大元国のあと、帝国を再生して明朝を興したのは、永楽帝の父・朱元璋(太祖洪武帝=右)だった

帝王の創業とは、けだし天授によるため、成祖永楽帝が天下を得たのも、人力では禦げなかったものである。斉泰・黄子澄・方孝孺・練子寧たちは、主君を支える忠誠にあふれながらも、勝利を制する方策に乏しかった。しかし残忍な刑具の数々を目にしても、なお虐刑を甘受した。そこでほとばしった忠憤は、百世の後も凛乎として生きている。国事につとめなかったあげく、一死を以て謝罪するような輩とは同日の談ではない。尋常の成功・失敗で論じるわけにはいかないのである。(『明史』巻一四一)

カテゴリ: カルチャー 社会 政治
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
フォーサイトのお申し込み
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top