悪党たちの中華帝国
悪党たちの中華帝国 (19)

王陽明――「異端」者の風景(下)

挫折する近代――明

執筆者:岡本隆司 2022年1月22日
タグ: 中国
エリア: アジア
王陽明(左)は官僚として3度の武功をたて、嘉靖帝(右)に引き立てられた

 

 当時の士大夫はみな、体制教学である朱子学をひととおり学んだ。もちろん陽明学を創始した王陽明、諱は守仁もそうだった。当時もっとも熱心に学んだ1人だといってよい。

出自

 王守仁は15世紀末から16世紀前半の人だから、唐寅・祝允明とほぼ同時代人である。しかし後者のような「風流」な都会人ではない。

 まず出身は、蘇州とは川・山を隔てた「浙東」である。浙西・浙東というこの地域区分は、現在でこそ使わないけれども、史上きわめて重要で、もっと昔なら「呉」「越」と呼んでいた。たとえば「呉越同舟」の呉・越といったほうが、日本人になじみが深いかもしれない。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
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