悪党たちの中華帝国
悪党たちの中華帝国 (20)

李卓吾――「儒教の叛逆者」(上)

挫折する近代――明

執筆者:岡本隆司 2022年2月12日
タグ: 中国
エリア: アジア
中年を過ぎて王陽明(左)の思想に触れ、李卓吾(右)の人生は変わった

 

気質は偏狭・物腰は傲慢・物言いは卑俗・心情は狂痴・行動は軽率な人物で、交友は少ないが、会って気に入ればゾッコンになってしまう。人とつきあうと、短所ばかりアラ探し、仲違いすると、絶交になるばかりか、一生ゆるさない。暖衣飽食を志しているのに、伯夷叔斉のような聖人と自称し、破廉恥な本性なのに、満身道徳のかたまりのつもり。公然と何も人に施さないのを、聖人の伊尹の行状にことよせ、明らかにケチで利己的なのに、同じことをした楊朱を「仁を賊(そこな)う」といって誹謗する。他人に逆らう行動、心情に違う発言ばかり、こんな人間なので、郷里の人はみな憎んだ。(『焚書』巻三、「自賛」)

カテゴリ: 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
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