やっぱり残るは食欲
やっぱり残るは食欲 (53)

モチモチしよう

執筆者:阿川佐和子 2022年3月19日
カテゴリ: カルチャー
餅ってなんで正月以外にあまり食べないのでしょうか(写真はイメージです)

 正月気分もとうに抜け、あら、もう二月? 一月往ぬる二月逃げる三月去るっていうけれど、本当に早いわねえなどとぬかしておるうち、いつのまにか餅への興味も抜けていることに気づく。

 餅はなぜ、正月特有の食べ物なのだろう。今年初めのニュースでも、正月に餅を喉に詰まらせて救急搬送された高齢者が都内で二十人近かったと報じていた。毎年のことだ。餅を食べたら喉に詰まるであろうことは、年齢や普段の咀嚼状況から判断すれば容易に予測できるだろう。でもまあ、お正月だもんね、おばあちゃんに食べさせてあげようよ。おばあちゃん、気をつけて食べてね。家族もよくよく注意していたはずなのに、やっぱり詰まるときは詰まる。どれほど苦しいことだろう。「餅詰まらせニュース」を耳にするたび、ウチも気をつけようと誰もが心に期すはずだ。それでもなお、日本人は正月に餅を食べずにはいられない。

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執筆者プロフィール
阿川佐和子 1953年東京生まれ。報道番組のキャスターを務めた後に渡米。帰国後、エッセイスト、小説家として活躍。『ああ言えばこう食う』(集英社、檀ふみとの共著)で講談社エッセイ賞、『ウメ子』(小学館)で坪田譲治文学賞、『婚約のあとで』(新潮社)で島清恋愛文学賞を受賞。他に『うからはらから』(新潮社)、『正義のセ』(KADOKAWA)、『聞く力』(文藝春秋)など。
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