悪党たちの中華帝国
悪党たちの中華帝国 (22)

康有為――不易の思想家(上)

甦る近代の変革――清末民国

執筆者:岡本隆司 2022年3月12日
タグ: 中国
エリア: アジア
思想界が沈滞した清代、孔子(左)を改革者とみなす新思潮を発展させた康有為(右)

 

その言は康有為の『孔子改制考』『新学偽経考』を主として、さらに「平等」「民権」「孔子紀年」などの謬論で補ったものである。六経を偽作とするのは、聖人の経典を滅ぼすにひとしく、孔子が制度を改めたといえば、あるべきしきたりを乱すにひとしい。人々の「平等」をとなえては、儒教の三綱五常をおとしめるし、「民権」を伸張させると、君上を無(なみ)してしまう。「孔子紀年」を使えば、人々はわが清朝の存在を知らなくなりかねない。(『翼教叢編』蘇輿「序」)

カテゴリ: 社会 カルチャー
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top