悪党たちの中華帝国
悪党たちの中華帝国 (24)

梁啓超――「彷徨模索」した知識人(上)

甦る近代の変革――清末民国

執筆者:岡本隆司 2022年4月9日
タグ: 中国 日本
エリア: アジア
梁啓超(右)は、師の康有為(左)とともに携わった「変法」の挫折後、日本に亡命して新境地を拓く

梁啓超と康有為の最も相反しているのは、康有為は定見がありすぎ、梁啓超は定見がなさすぎた点にある。事業も然り、学問も然り。康有為はつねづね、「わが学は30歳ですでに成った。その後もう進歩はないし、また求めるにも及ばない」と語っていた。梁啓超はそうではない。学問が未完成なのを自覚、憂慮しない時はなく、数十年間、日々彷徨模索しつづけた。……しかも梁啓超は、定見がなさすぎるため、往々にして事物に流されて、守ってきたものを失うことがある。創造力は康有為に及ばないと断言してよい。……梁啓超は短所を自覚していたけれども、改める勇断ができないまま、しばしばくだらぬ政治活動にひきまわされ、精力を消耗して十分な成果が上がらなかった。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)など多数。
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