やっぱり残るは食欲
やっぱり残るは食欲 (55)

鴨バスの宴

執筆者:阿川佐和子 2022年5月21日
カテゴリ: カルチャー
田んぼの中にあるバスが鴨料理店だったとは……!(写真はイメージです)

 それは不思議なレストランだった。

 周囲には田んぼと畑と川と林しか見当たらない。ビルの光や巷の喧騒からははるかに遠く、自動車の行き交う音もまれにしか届かない。そんな深閑とした細い田舎道の脇に、その店は忽然と現れた。

 「ここ?」

 「そう。ここだよ」

 「ここですか?」

 思わず私は聞き返した。

 案内してくれたのは旧知のゴルフ仲間である。

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執筆者プロフィール
阿川佐和子 1953年東京生まれ。報道番組のキャスターを務めた後に渡米。帰国後、エッセイスト、小説家として活躍。『ああ言えばこう食う』(集英社、檀ふみとの共著)で講談社エッセイ賞、『ウメ子』(小学館)で坪田譲治文学賞、『婚約のあとで』(新潮社)で島清恋愛文学賞を受賞。他に『うからはらから』(新潮社)、『正義のセ』(KADOKAWA)、『聞く力』(文藝春秋)など。
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