ベネズエラのプラス成長をもたらした「事実上のドル化」と「やむにやまれぬ経済自由化」

執筆者:坂口安紀 2022年7月15日
カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
エリア: 中南米
米ドルでの価格が表示されているベネズエラの首都カラカスの商店(C)AFP=時事
マドゥロ政権下での経済危機によって500万人超が国外へ脱出した南米ベネズエラ。一時は10万%を超えるハイパーインフレに襲われ、7年連続のマイナス成長が続いたが、ついに底を打ったという。 

 

 戦禍や自然災害に見舞われたわけではないにもかかわらず、わずか5年で国内総生産(GDP)が4分の1にまで縮小した国がある。世界最大の石油埋蔵量を誇る南米のベネズエラだ。 

 5年におよぶハイパーインフレに苦しめられ、食料や医薬品の欠乏がもっと厳しかった2017~2019年には乳幼児を中心に命を落とす者が続出し、500万人以上が国を脱出した。そのベネズエラ経済がついに底を打ち、プラス成長に転じた。 

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執筆者プロフィール
坂口安紀(さかぐちあき) アジア経済研究所地域研究センター主任調査研究員。1964年生まれ。国際基督教大学卒、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校(UCLA)ラテンアメリカ研究学MA(修士)。専門はベネズエラ地域研究。著書に『ベネズエラ:溶解する民主主義、破綻する経済』(中公選書 2021年)、編著書に『チャベス政権下のベネズエラ』(アジア経済研究所2016年)、『途上国石油産業の政治経済分析』(岩波書店2010年)など。『ラテンアメリカ・レポート』などでベネズエラ情勢について定期的に情報を発信している。
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