世界で広がる「国際送電網」と日本が取るべき「デマンド・ドリブン」戦略

執筆者:瀧口信一郎 2022年8月29日
エリア: アジア ヨーロッパ
国際送電網によるエネルギー安全保障がトレンドになりつつある(C)teerapon/adobe.stock.com
ウクライナがロシアによる侵攻直後にEUの広域送配電網に接続したように、政治的な連携を前提とした国際送電網でのエネルギー安全保障の実現が世界の潮流になりつつある。では、送電網で他国とつながることが難しい日本はどうすべきか。筆者は「デマンド・ドリブン」戦略を提唱する。

 

 ロシアが2022年2月24日にウクライナに侵攻して以後、石油や天然ガスの供給不安が広がり、世界的な化石燃料価格の高騰を引き起こしている。

 欧州諸国にとって、ソ連時代から供給が続けられてきたロシアからの天然ガス供給は半ば信頼できるものだったが、その信頼はついえた。エネルギー調達の再構築を急ぐ欧州議会は、議論の多かった原子力発電を脱炭素技術として用いる意思決定に踏み切り、中東や米国からのLNG(液化天然ガス)調達を増やし、2022年のEU(欧州連合)の天然ガス輸入は中国を抜いて世界最大となる見込みだ。エネルギーの海外依存度の高い日本へのリスクも高まっている。

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執筆者プロフィール
瀧口信一郎(たきぐちしんいちろう) 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター シニアスペシャリスト。京都大学理学部を経て、93年同大大学院人間環境学研究科を修了。テキサス大学MBA(エネルギーファイナンス専攻)。94年日本総合研究所入社。2016年より現職。専門はエネルギー政策・エネルギー事業戦略・分散型エネルギーシステム。著書に「カーボンニュートラル・プラットフォーマー」(エネルギーフォーラム社)、「ゼロカーボノミクス」(日経BP・共著)、「ソーラー・デジタル・グリッド」(日刊工業新聞社・共著)、「エナジー・トリプル・トランスフォーメーション」(エネルギーフォーラム社・共著)、「中国が席巻する世界エネルギー市場 リスクとチャンス」(日刊工業新聞社・共著)、「2030年、再エネ大再編」(日刊工業新聞社・共著)など。
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